作家・小川糸さんの本「これだけで、幸せ 小川糸の少なく暮らす29ヵ条」を読みました。(図書館で借りて)
より楽に、そして自分らしく生きるために、彼女が考える「ものづきあい」のことなどについて書かれた本です。
小川糸さんのシンプルな暮らし
「台所も、最後は鍋一個だけあるのが理想」という彼女。
不要なものをどんどんそぎ落として、ほんとうに必要なものだけに囲まれて暮らしたいという彼女のこだわり、生き方はミニマリスト的だなあと思います。
彼女がシンプルに暮らすことに目覚めたきっかけのひとつが、モンゴルで移動式の住居(ゲル)に滞在したことだそうです。
家畜とともに年に何度も移動する遊牧民の生活では、持ち物は最小限。
彼らには「どこでも生きていける」というゆるぎない自信を感じたといいます。
そんなモンゴルの生活を体験して「気持ちの上では遊牧民のように、ものを持たずに身軽に生きていく」というのが、自分の中のテーマになったとのこと。
ものを選ぶ基準
日々の暮らしの中で接する道具や生活用品を選ぶ基準は、はっきりと決まっているという小川さん。
それは、
できるだけ「長くつかえるもの」「ずっと気に入っていられるもの」
これ、考えたら当たり前のことのような気がします。
が、「一生添い遂げられる」ようなナイフとフォークを探し求めて、蚤の市を探したり、レストランで使われているフォークの刻印をチェックしたり、と、彼女の姿勢は徹底していて、こだわりの強さを感じます。
切れ味などの機能性と、手にしっくり馴染むデザイン性を兼ね備えた、彼女にとっての理想のナイフとフォーク。
結局ベルリンで見つけたそうです。
ここまでこだわって探し出した良質のものなら「長く使っていて飽きてしまった」なんてことはなく、ほんとうに一生添い遂げることができるのでしょう。
それだけ強く愛着を持てるようなものを手に入れるためには、自分の感性や審美眼がよっぽど磨かれていないと難しい気がしますね・・・。
壊れたら修理して使い続ける
そして、長く使っていくために、壊れたら修理・修繕できる、というのも彼女がものを買うときに必ず確認することだそうです。
壊れたら捨てて、新しいものを買うのが主流とも言える時代、修理するよりも新しいものを買ったほうが安い場合もある。
たとえ高くついたとしても彼女が修理してまで使うのは、私と「もの」との間で紡がれる歴史を大切にしたいから。
そうすることによって、ものに対してより愛着が増していく。
何でもすぐに気軽に手に入れることができる今という時代に、彼女のように「丁寧にものに向き合う」という態度は忘れがちな気がします。
そしてそんな「彼女」と「もの」との「丁寧な関係」を知ると、果たして私が今持っているもののなかで「一生添い遂げたいくらいの大切なもの」ってどのくらいあるだろう、って考えてしまいました。
何にこだわるかは人それぞれなので、彼女の考え方は「ひとつの生き方」ではあるのだけど、筋が通っていて素敵だなぁと思います。
自分だけの「買う基準」
ほんとうに気に入っていて、長く使えるものだけを手元に置く、という小川さんの暮らし。
そのためのもうひとつの大切なポイントは、
私にとって必要なものは世間がすすめる”標準”と同じとは限らない。
自分だけの「買う基準」を持とう。そう考えてきました。
「これだけで、幸せ 小川糸の少なく暮らす29ヵ条」より引用
例えば、「家電をひとつだけ残すとしたら精米機を選ぶ」という彼女。
世間の「標準」から考えたら「精米機?」ってなるかもしれない。
けれど、おいしいご飯を炊くために、彼女には炊飯器はいらなくて精米機が必需品なのです。
自分だけの「幸せのモノサシ」を持つことが大切で、ひとからどう思われるかは関係ないんですね。
最後に
「もっとものを減らして、最後はものも人も、本当に大好きなものだけに囲まれて人生を終わりたい。台所も、最後は鍋一個だけあるのが理想」という小川さんの生き方。
必要な食べ物と最小限の生活の道具あれば、人間生きていけるんですよね、ほんとは。
(中国の人が昔、中華鍋ひとつを担いで移住したって聞いたような)
何が起きるか分からない時代。モンゴルの人たちのように、最小限のもので「たくましく生きる力」を私も身につけたい、と心から思います。
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お読みいただき、ありがとうございました。